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「建物状況調査」の結果報告書の見方について

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今回は、「建物状況調査」の結果報告書の見方についてお話をして行きます。

4月1日から、仲介業者は、宅建業法改正に伴うインスペクション業者斡旋の可否を、売主・買主に媒介契約時に問う事が義務化になりました。

建物状況調査の流れとして

不動産取引の慣習上、買主との媒介契約時にインスペクション業者斡旋の可否を問うても、

既に中古住宅の契約時なので、時間的にインスペクションをする事は、実質上無理という事で意味が有りません。

なので実際に斡旋を受けて「建物状況調査」をするのは、売主サイドが主になると思われます。

建物状況調査の欄の見方として

この「建物状況調査」の報告書(正確な呼び方は「既存住宅状況調査 調査報告書」)をわかり易く説明します。

インスペクションの判定基準でいえば、

・例えば床・壁の傾斜は6/1000以上有るかどうか?

・基礎・壁のひび割れが0.50mm以上有るかどうか?

などを劣化事象の有無の欄にチェックを入れて行きます。
(劣化事象の有無の欄には、実際には傾斜の数値、ひび割れの数値は書かれていません。)

もし「有る」にチェックが有る場合は、買主・売主が双方で確認する事になっています。

ここで注意しなければならない事は、

判定基準にほんの少し足らない数値 例えば床の傾斜数値が5.5/1000が確認されたとしても、

劣化事象欄には「無し」にチェックが入ります。

基礎・壁のひび割れの計測方法はクラックスケールで計測するので、誰が計測してもほぼ変わらないとおもいますが、

床の計測方法は、統一されていません。

決められている事は、2点の測定間距離がおよそ3mだけです。

この床の傾斜測定に関しては、計測する建築士によって、

劣化事象が「有る」「無し」の違いが多く出るのではないかと思われます。

床の傾斜の有無によって、買主が購入するかどうかを決める判断材料になりますので、

これから「建物状況調査」をされる建築士の皆さんには、床の傾斜測定は特に慎重にして欲しいと思います。

劣化状況等の有無の欄の見方の注意点として

インスペクションの経験が無いまたは少ない建築士には、

特に、床の傾斜の流れ、基礎のひび割れ箇所、建物の廻りの状況を把握して、

相対的に床の傾斜を判断する事は、はっきり言って無理でしょう。

「建物状況調査」の報告書には添付されていないのですが、

床の傾斜を計測した図面を必ず見せてもらって下さい。

最低でも、例えば6帖の部屋で有れば4隅と中央を測定しているかどうかを確認して下さい。

中央を測定していなければ、床の傾斜測定の判定基準は、

劣化事象無しになる確率が非常に高くなりますので注意が必要です。

今回は、これで終わります。